この記事では、齋藤 孝さんの著書『原稿用紙10枚を書く力』を読んで得られた3つの気付きを共有します。
文章を思った通りに書けない……と悩んでいる方に、ぜひ読んでほしい一冊です。
書籍へのリンクはこちら(齋藤 孝『原稿用紙10枚を書く力』)
1.読者が何を求めて文章を読んでいるのかが分かる
読者は、どんな理由で文章を読むのか?
Webライターや文章を書く人であれば、誰もが考えたことがあるでしょう。
この本では、読者が必要としている文章について、以下のように述べています。
私たちが必要としているのは、発見や新しい認識、気づきが盛り込まれた文章です。
原稿用紙10枚を書く力 p89
この文章を読んで、私は「たしかに!」と納得しました。
たとえば新しい本を買ったとき、自分の知らない何かに巡り合えるはず!というワクワク感に満ち溢れています。そういった未知の知識を求めて、私たちは文章を読んでいるのです。
いままで私は「読者は問題解決のために文章を読んでいる」を前提として考えていました。
これも言い換えれば、新しい視点や気付きを得るために読んでいると言えます。
読者に新しい気付きを与えるためには、どのように文章を考えればいいのでしょうか。
想像するだけでなんだか難しそうに思えるかもしれませんが、実はあなたのすぐそばに、新しい気付きは転がっています。
おもしろいとは、それまで頭の中でつながっていなかったものがつながるということでもある。
原稿用紙10枚を書く力 p124
この文章は、私がこの本で新しい気付きを得たポイントでした。
おもしろいという言葉自体は知っているし、普段からよく使っている。
でも、おもしろいを言語化したことがなかった私には、新しい気付きとなったのです。
今までおもしろかった出来事について振り返ってみると、
たしかに、つながっていなかった点と点が線でつながった時でした。
それと同時に、私がこの本をおもしろいと思う理由はここにあったのか!と思わず感心してしまいました。
あなたの最近おもしろかったことは何ですか?
実際に振り返ってみると、同じような「おもしろい」かもしれませんし、また違った「おもしろい」を見つけるかもしれませんね。
つまり何が言いたいかというと、
身近にあるが普段は考えていないものを言語化することでも、新しい気付きを与えられるのです。
また言語化には人それぞれの切り口があるので、オリジナリティのある文章を作るためにも役立ちます。
自分の書く文章は、読者へ新しい気付きを与えられているのか?
そういった視点で自分の文章を読み返してみると、新たな発見があるかもしれませんね。
2.意識して読むことで、文章が書きやすくなる
アウトプットする前提、つまり人に伝える前提の読書は、本への理解度が格段にあがります。
人に伝えるためには、自分で内容を理解し、要約しなければならないからです。
読書感想文なんかも、同じ原理ですね。
この本では、書くための読書を「こなす読書」と呼び、
具体的な「書くための読書法」についても取り上げています。
私も早速この本で読書感想文を書くことを決め、ここでアウトプットしています。
書くための読書には、どんなメリット・デメリットがあるのか。
実際にやってみた気付きを共有します。
メリット
・自分の考えを深堀りして言語化する練習になる
・通常の読書より意識して読むため、本の内容が記憶に残る
・読者目線でのおもしろい書き方やポイントを考察し、文章作成に活かせる
デメリット
・何度も読み返し考えるので、通常の読書より時間がかかる
一番のメリットは、自分の考えを言語化する練習になること。
書くためには、「なぜおもしろいと感じたのか?」「なぜ重要だと思ったのか?」という理由を言語化できなければ伝えられません。
はじめは時間がかかるというデメリットもありますが、書く回数を重ねるごとに改善できる点だと思います。
またこなす読書の他にも、この本では起承転結に区切って読む読書について紹介しています。
名前の通り、起承転結がどこに当たるのかを見つけながら読むという方法です。
この読書法での大事なことについては、以下のように述べています。
これはおもしろいなと思う文章は短くても長くても、やはり「起承転結」がある。それを読み手が区切って読むトレーニングだ。この場合、どこが「転」なのか、という一点を見きわめられるかどうかが、ポイントになる。
原稿用紙10枚を書く力 p53
「転」を見きわめられれば、「この『転』になるには前提が必要だから、そのためにここのあたりを書いたんだな」という書き手の思考回路が見えてくる。
つまり「転」という著者が伝えたい本質を見つけられるかが重要なのです。
起承転結に区切ることができれば、文章の作り方について新しい視点が見えてきそうですよね。
さっそく実践してみたので、起承転結で読むメリットを共有します!
・著者の伝えたいポイント「本質」を読み取る力がつく
・文章のつなげ方や作り方を理解し、自分の文章へも取り込める
著者の伝えたい本質を見抜くことで、文章作成のヒントが見つかります。
伝えたいポイントまで話をもっていくために、どのような導入を書いているのか。何を前提として話を進めているのか。たくさんの気付きが得られました。
また、使いまわせそうな文章のつなげ方や作り方は、自分の文章へ取り込んでしまえばいいのです。
書くことに悩んでいるのなら、こなす読書や起承転結で読む読書を実践してみるといいでしょう。
たくさんの気付きがノウハウとして溜まり、文章作成を助けてくれます。
「書くため」を意識して本を読むことで、文章が作りやすくなるのは確かです。
3.オリジナリティのある文章の作り方が分かる
オリジナリティのある文章とは、他とは違う新しい気付きを読者に与える文章だと私は考えます。
たとえばWebライターであれば、リサーチ情報に基づき文章を書くことが多いでしょう。
リサーチだけの情報で書こうとすると、どうしても既存の記事に似たり寄ったりの内容になりがちです。
反対に他の記事との差別化ができれば、それはオリジナリティのある文章といえます。
同じような情報源から、他の記事との差別化をしようと考えて悩んだ経験はありませんか?
この本では、どうすればオリジナルの文章が作れるのかを述べています。
具体的には、以下のように「3つのキーコンセプトを決め文章を構成すること」を紹介しています。
三つのキーコンセプトは、その文章全体を構築する三脚である。あまり似たもの同士では、距離が近くなって安定しなくなる。それぞれが相互に侵蝕し合わない、ある程度離れた三つを立てることが重要なのだ。
原稿用紙10枚を書く力 p134
完全な正三角形でなくても、三つのキーコンセプトの種類が違っていれば、それぞれの距離が離れて安定する。三脚で成り立っている椅子やテーブルは、脚の距離が離れているほど安定して倒れにくくなる。それと同じように、キーコンセプトがそれぞれ違っているほど、書いた文章は安定したしっかりとしたものになる。
3つのキーコンセプトには、あるテーマに関して自分が伝えたい軸となるものを挙げましょう。
たとえば「はじめての転職」がテーマだとして、私が伝えたいと思うキーコンセプトは以下の3つです。
・まずは自己分析をすること
・事前に業界、会社について調べる
・面接は場数を踏んで慣れる
それぞれのキーコンセプトを選んだ理由には、自分の経験や価値観が何かしら含まれています。その理由を文章に入れ込むことで、他の記事との差別化ができるのです。
① 3つのキーコンセプトとキーコンセプトを選んだ理由を挙げる
② キーコンセプト同士の共通点を見つけたり、どうやって話をつなげるかを考える
この2ステップを踏むことで、自分の価値観や想いを混ぜたオリジナリティのある文章が作れます。
また先ほど紹介した「書くための読書」と組み合わせることで、相乗効果が生まれます。
読むことで文章のノウハウを集め、キーコンセプトでオリジナリティのある文章をつくる。
これを実践してみることで、確実にレベルアップした文章が書けるようになるでしょう。
まとめ
今回紹介した『原稿用紙10枚を書く力』には、読者に伝わる文章を書くために知っておくべきことが書かれています。
個人的にとてもおもしろく、実践できそうなことがたくさん見つかる本でした。
文章を書きたいけどうまく書けない、というあなたに刺さる本だと思います。
気になったらぜひ買って読んでみてくださいね!
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